初心者におくる作曲方法のコツ!第63回 二人でお茶を その3

こんにちは!
今回も引き続き、ジャズの名曲
「二人でお茶を(Tea for Two)」
を分析していきます。
張り切ってやっていきましょう!
二人でお茶を 続き
まずは課題曲を思い出しましょう。
曲はこちら。
楽譜は以下です。
※クリックすると楽譜が大きく表示されます
楽譜に忠実にピアノで弾いたものはこちら。
前回までやった分析がこちらですね。
17~21小節目
16小節目からの流れ
さて、前回積み残した16小節目を片付けましょう。
このE♭7は何でしょうね。
いきなり出てきたセブンスで真っ先に疑うのは
セカンダリー・ドミナント
ですね。
あるいは
ドミナント進行を利用した転調
というのも有力な候補です。
ところが
17小節目の最初のコードはB♭m7で
5度下がるというドミナント進行していません。
本来だったら、5度下がってA♭maj7に行きたかったのです。
楽譜を見てわかるように
「A’」のセクションでは
「B」でさんざん出てきた♮がありませんね。
つまり、「A’」は「A」同様のA♭-Majorに戻っています。
元の調に転調したんですね。
というわけで
E♭7は、A♭-Majorのドミナントです。
で、5度下がるはずだったんですが
この曲はそもそも始まりが
トニックじゃなかったんですよね。
IIm7 → V7
という、いきなりツーファイブで始まる変則的な曲でした。
というわけで
このE♭7は
トニックに行けなかったドミナントということになります。
E♭7は、転調先のA♭-MajorのV7で
5度下がろうと勢い良く飛び出したものの
着地できずに放り出されたので点線です。
17小節目~24小節目
さて、このA’のセクションは
基本的にはAメロの繰り返しですね。
22小節目までは完全にコード進行もメロディーも一緒です。
ということで、こう。
次のCm7(♭5)はなんでしょうね?
A♭-Majorで出てくるコードではないので
なにかイレギュラーなことをやっています。
その次のコードを先に見てみましょう。
F7です。
更にその先も見てみましょうか。
Cセクションの最初のコードは
B♭m7/D♭
です。
これはB♭m7の転回形ですね。
(転回形についてくわしくは第39回を参照してください)
コードの機能としてはB♭m7と同一と考えて良いので
F7からドミナント進行しているといえます。
つまり、F7はセカンダリー・ドミナントです。
こうなります。
で、このF7に先行するCm7(♭5)を考えましょう。
通常、この位置に来るのは
セカンダリー・ドミナントのサブドミナントとして
ツー・ファイブを構成する
Cm7
ですよね。
実際、Cm7でもおかしくありません。
はい。
ただ、Cm7(♭5)の方が
ちょっと独特な感じがありますね。
ところで、サブドミナントにこの
「m7(♭5)」を用いることがあったのを
覚えておいででしょうか。
短調です。
これはC-minor(ハ短調)の例ですが
2番目の和音は「m7(♭5)」で
これはサブドミナントとして使えます。
(短調については、第26回・第27回を参照してください)
というわけで、短調だと考えると
Cm7(♭5) → F7
というのは
ツー・ファイブだと考えておかしくありません。
ん?
ここだけ短調・・・。
モーダル・インターチェンジです。
一時的に、長調と短調を入れ替えることができるアレです。
(モーダル・インターチェンジは第40回・第41回・第42回で扱っています)
つまりここはこうなります。
F7はIIm7であるB♭m7を目的地とした
セカンダリー・ドミナント
であり、そのF7とツー・ファイブを構成するCm7のかわりに
短調にモーダル・インターチェンジさせた
Cm7(♭5)を用いたのです。
ややこしいですね・・・。
モーダル・インターチェンジの中でも
サブドミナントに短調のコードを借りてくる
サブドミナント・マイナー
です。
さあ、今回はここまでです。
次はいよいよ最後のCセクションです。
実はここ、幾通りもの解釈が可能です。
次回の解説が必ずしも唯一無二の回答ではないですが
頑張って解釈していきましょう!
ではまた!

t.k

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