初心者におくる作曲方法のコツ!第64回 二人でお茶を その4
こんにちは!
「二人でお茶を(Tea for Two)」の分析もいよいよ佳境です。
ちょっとむずかしいですけれども
頑張っていきましょう!
二人でお茶を 続き
課題曲です。
曲はこちらですね。
楽譜はこちら。
※クリックすると楽譜が大きく表示されます
楽譜に忠実にピアノで弾いたものはこちらです。
前回までやった分析は以下です。
※クリックすると楽譜が大きく表示されます
25~32小節目
さあ、いよいよCセクションです。
その前からの流れはいいですね。
23・24小節でツー・ファイブを構成して
25小節目の最初
B♭m7/D♭に
ドミナント進行しています。
で、ですね。
この25~28小節に
イレギュラーなコードがいっぱいでてきます。
この曲はA♭-Majorですが
通常出てくるコードは以下ですね。
これに当てはまらないものに丸をつけてみました。
25小節目の段のほとんどといってもいいですね。
イレギュラーに出てくるセブンスの和音を見たときに
まず疑うのは
セカンダリー・ドミナント
ドミナント進行を利用した転調
ですが
この丸をしたうちセブンスのコードは
いずれもドミナント進行していません。
ということは、上記のいずれでもありませんね。
Cm7(♭5)は、その前の23小節目で登場しているので
もしかしたら似たことをやっているのかもしれませんね。
さあ、どうしましょうか。
ここまでイレギュラーなコードが多い場合
この部分で
転調している
モーダル・インターチェンジしている
という可能性も考えられます。
まず、転調の可能性を考えてみます。
転調の可能性
転調だとしたら、どの調に転調したんでしょう?
セカンダリー・ドミナントなどの可能性はいったん排除しまして
その調がどの調なのかを見極めるひとつのコツが
m7(♭5)
です。
どの調であれ、m7(♭5)は1回しか出てきません。
例として、D♭-Major。
B♭-minor。
長調なら7番目、短調なら2番目のコードがm7(♭5)ですね。
Cm7(♭5)があるということは
D♭-MajorかB♭-minorに
転調しているんでしょうか?
ちなみに、B♭-minorの場合
5番目のFm7は
和声的短音階
を用いることによってF7とすることができるので
B♭-minorの可能性はなおのこと高まります。
25~28小節のコードのうち
B♭-minorに含まれるものを緑色で囲いました。
なるほど。
これは可能性が高そうです。
モーダル・インターチェンジの可能性
転調の可能性はいったん置いておいて。
モーダル・インターチェンジの可能性も考えましょう。
モーダル・インターチェンジだとすると
どのモードから和音を借りてきているのでしょう?
これを探すカギも転調同様にm7(♭5)です。
A♭から始まるさまざまなモードのうち
Cm7(♭5)が含まれるものを探せばよいのです。
答えを言ってしまいますが
A♭-Mixolydian(ミクソリディアン)です。
ミクソリディアンでは、3番目の和音がm7(♭5)になります。
さあ、転調なのかモーダルインター・チェンジなのか。
このA♭-Mixolydianに含まれる和音を
緑で囲ったものがこちら。
さっきと一緒ですね。
なんのことはない、♭が5つのB♭-minor
あるいはD♭-Majorの音階を
A♭から始めればA♭-Mixolydianになるんですね。
だからさっきと一緒です。
さあ、はたして転調なのかモーダル・インターチェンジなのか。
第3の解
当講座では、上記のいずれでもない第3の解を正とすることにします。
すなわち
転調でもモーダル・インターチェンジでもない
です。
この25~28小節のうち
特に大事なコードを水色で囲いました。
最後のG♭7はともかく
ほかの水色で囲ったコードは
これまででも見覚えがあるものばかりですよね。
まず、この水色で囲ったコードだけで分析してみましょう。
Cm7(♭5)からF7、さらにB♭m7への流れは
「A’」の最後と一緒ですよね。
つまりこうなります。
お?
なんだかちょっと見えつつありませんか?
でも、水色で囲ってないやつはどうしたらいいんでしょう。
実は、これらの処理の仕方も過去にちょっと触れているんです。
Cm7(♭5)とF7にはさまれた
G♭7に関しては第61回
F7とB♭m7にはさまれたAo7に関しては
第49回・第50回でちょろっと触れました。
次回、ちゃんと詳しく分析しますが
気になる方は過去の記事をさらっと
ご参照いただくといいかもしれませんね。
次回、この曲の分析が終わります。
お楽しみに!
t.k
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