初心者におくる作曲方法のコツ!第64回 二人でお茶を その4

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初心者におくる作曲方法のコツ!第64回 二人でお茶を その4

こんにちは!

「二人でお茶を(Tea for Two)」の分析もいよいよ佳境です。

ちょっとむずかしいですけれども
頑張っていきましょう!

二人でお茶を 続き

二人でお茶を 続き

課題曲です。

曲はこちらですね。

楽譜はこちら。

ex697

※クリックすると楽譜が大きく表示されます

楽譜に忠実にピアノで弾いたものはこちらです。

前回までやった分析は以下です。

ex698

※クリックすると楽譜が大きく表示されます

25~32小節目

さあ、いよいよCセクションです。

その前からの流れはいいですね。

ex699

23・24小節でツー・ファイブを構成して
25小節目の最初

B♭m7/D♭に
ドミナント進行しています。

で、ですね。

この25~28小節に
イレギュラーなコードがいっぱいでてきます。

この曲はA♭-Majorですが
通常出てくるコードは以下ですね。

ex700

これに当てはまらないものに丸をつけてみました。

ex701

25小節目の段のほとんどといってもいいですね。

イレギュラーに出てくるセブンスの和音を見たときに

まず疑うのは

セカンダリー・ドミナント

ドミナント進行を利用した転調

ですが

この丸をしたうちセブンスのコードは
いずれもドミナント進行していません。

ということは、上記のいずれでもありませんね。

Cm7(♭5)は、その前の23小節目で登場しているので
もしかしたら似たことをやっているのかもしれませんね。

さあ、どうしましょうか。

ここまでイレギュラーなコードが多い場合

この部分で

転調している

モーダル・インターチェンジしている

という可能性も考えられます。

まず、転調の可能性を考えてみます。

転調の可能性

転調だとしたら、どの調に転調したんでしょう?

セカンダリー・ドミナントなどの可能性はいったん排除しまして

その調がどの調なのかを見極めるひとつのコツが

m7(♭5)

です。

どの調であれ、m7(♭5)は1回しか出てきません。

例として、D♭-Major。

ex702

B♭-minor。

ex703

長調なら7番目、短調なら2番目のコードがm7(♭5)ですね。

Cm7(♭5)があるということは

D♭-MajorかB♭-minorに
転調しているんでしょうか?

ちなみに、B♭-minorの場合

5番目のFm7

和声的短音階

を用いることによってF7とすることができるので
B♭-minorの可能性はなおのこと高まります。

25~28小節のコードのうち
B♭-minorに含まれるものを緑色で囲いました。

ex704

なるほど。

これは可能性が高そうです。

モーダル・インターチェンジの可能性

転調の可能性はいったん置いておいて。

モーダル・インターチェンジの可能性も考えましょう。

モーダル・インターチェンジだとすると
どのモードから和音を借りてきているのでしょう?

これを探すカギも転調同様にm7(♭5)です。

A♭から始まるさまざまなモードのうち
Cm7(♭5)が含まれるものを探せばよいのです。

答えを言ってしまいますが

A♭-Mixolydian(ミクソリディアン)です。

ex705

ミクソリディアンでは、3番目の和音がm7(♭5)になります。

さあ、転調なのかモーダルインター・チェンジなのか。

このA♭-Mixolydianに含まれる和音を
緑で囲ったものがこちら。

ex706

さっきと一緒ですね。

なんのことはない、♭が5つのB♭-minor
あるいはD♭-Majorの音階を

A♭から始めればA♭-Mixolydianになるんですね。

だからさっきと一緒です。

さあ、はたして転調なのかモーダル・インターチェンジなのか。

第3の解

当講座では、上記のいずれでもない第3の解を正とすることにします。

すなわち

転調でもモーダル・インターチェンジでもない

です。

この25~28小節のうち
特に大事なコードを水色で囲いました。

ex707

最後のG♭7はともかく

ほかの水色で囲ったコードは
これまででも見覚えがあるものばかりですよね。

まず、この水色で囲ったコードだけで分析してみましょう。

Cm7(♭5)からF7、さらにB♭m7への流れは
「A’」の最後と一緒ですよね。

つまりこうなります。

ex708

お?

なんだかちょっと見えつつありませんか?

でも、水色で囲ってないやつはどうしたらいいんでしょう。

実は、これらの処理の仕方も過去にちょっと触れているんです。

Cm7(♭5)とF7にはさまれた
G♭7に関しては第61回

F7とB♭m7にはさまれたAo7に関しては
第49回第50回でちょろっと触れました。

次回、ちゃんと詳しく分析しますが

気になる方は過去の記事をさらっと
ご参照いただくといいかもしれませんね。

次回、この曲の分析が終わります。

お楽しみに!

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Posted by t.k