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初心者におくる作曲方法のコツ!第50回 いつか王子様が その3

2018年1月26日趣味, 作曲

初心者におくる作曲方法のコツ!第50回 いつか王子様が その3

こんにちは!

なんと、今回で50回目とあいなりました。

長くやってきましたねえ。

さて、前々回から「いつか王子様が」を分析しています。

今回でコード進行の分析は終わりにしましょうね。

ややこしいのも今回までですから
頑張っていきましょう!

いつか王子様が 続き

いつか王子様が 続き

コード分析 その3

さあ、「いつか王子様が」をやっていきましょう。

楽譜と音を確認しましょう。

ex555

繰り返しになりますが
4分の3拍子B♭-Majorの曲です。

また、B♭-Majorのダイアトニック・コードは以下です。

ex556

前回までで分析が終了した部分を見てみましょう。

ex557

では続きを見ていきましょうね。

繰り返し記号の指示により
冒頭から繰り返しまして

8小節目までやったら
今度は2カッコの方に行きます。

ex558

2回目はこういうふうに演奏していきます。

2カッコ最初のコードがFm7ですね。

1カッコのときはDm7でしたので
5度下がるドミナントモーションではなかったものの

トニック(IIIm7)に一応行き着いてました。

今度はどうやって分析しましょうか。

そもそもFm7は
B♭-Majorのダイアトニックコードではありませんね。

ということは

ここで何かが起きていると考えなければいけません。

次のコードをみるとB♭7です。

ということは?

ここでセカンダリー・ドミナントが起きているのです。

Fm7はB♭7を導くための

ツー・ファイブ

のツーの部分だったんですね。

そして、B♭7からE♭へと5度下がる
ドミナント・モーションです。

こうなります。

ex559

8小節目のF7からドミナント・モーションしたくて
矢印が飛び出したものの着地点はないんですね。

IVmaj7に向かうセカンダリー・ドミナントの
ツー・ファイブが始まっちゃいました。

次のEo7です。

これもダイアトニックではありませんね。

さあ、何かが起きました。

次のコードを見てみると

B♭/F

となっています。

これはなんでしたっけ?

第39回でとりあげた転回形です。

コードを構成している音はB♭なんだけど
ルートがFすなわちファの和音です。

おや?

E♭maj7 → Eo7 → B♭/F

となっていて、ルートが

ミ♭ → ミ → ファ

というふうに
半音ずつ上がっていますね。

前回取り上げました。

経過和音というやつです。

ディミニッシュコードが時々イレギュラーに現れて
コードがスムーズに進むのを助ける働きをするんでした。

というわけで
このEo7は分析の表記としては

♯IVo7もしくは♭Vo7となりますが
あんまり意味はありません。

半音ずつ上がっていく
ということを表すために

♯IVo7の表記の方がいいですかね。

さあ、最後の段です。

転回形を用いても働きは変わりませんので
B♭/FはImaj7です。

ex560

次の

Cm7/F

これ、なんでしょうね。

書き方としては転回形ですけども
Cm7にはF、すなわちファの音は含まれていませんよね。

これ、「コードの一番低い音を無理やりファにしなさいよ」という指示です。

一番低い音をファにして
その上にCm7を乗っけなさいよと。

こういう音になりますね。

ex561

こんなことやっちゃっていいんでしょうか。

いいんです。

現に、すごくおしゃれな響きの音ができましたよね。

半音x1を構成しなければ
どの音の上にどのコードを乗せても構いません。

なんのためにこんなことをするのでしょう?

まずは、音自体をおしゃれな響きにするためですね。

テンションを加えると
音がおしゃれに豊かになったように

音が複雑になると
うまくすればいい音になります。
(うまくいかないと、濁った汚い音になります)

ところで、いままではコードの一番下の音を

ルート とか 根音

と呼んできました。

ここで新しい呼び名を提唱しましょう。

ベース もしくは ベース音

といいます。

ややこしいんですけど

Cm7/Fの上に乗っているCm7のルートは
Cすなわちドです。

でも、ベースはFすなわちファです。

基本的にベース音というのはルートと同一ですが
今回のようにベース音だけ別途指示された場合は

「ルート」ではなく「ベース」と呼ぶ方がふさわしいように思います。

でもまあ、大体の場合は同一ですので

「Dm7のベースはレだよなー」
言っても全然かまいません。

ちなみに、ベースというギターに似た楽器がありますが
その役割はまさにベース音を奏でることにあります。

話が逸れました。

なんでルートとは違う音を
ベース音に使うのかという話でした。

もうひとつの目的は

ベースの動きに意味を持たせる

です。

最後の段、こういうコード進行ですよね。

B♭/F → Cm7/F → F7 → B♭

最後のB♭は置いておいて
最初から3つはベース音がすべてFです。

このベース音を揃えるということを
作者はやりたかったんでしょうね。

なんでベース音を揃えたかったのかというと
それは作者のこだわりでしょう。

揃えなくても十分に成り立ちます。

でも、なんでだか作者は揃えたくなっちゃったんでしょうね。

同じようにベース音に意味を持たせる例として

ベース音が1音(もしくは半音)ずつ上がる/下がる

なんかがよくありますね。

ベース音が揃ったり、順番に上がり下がりすると
ちょっと聞いてて気持ちよかったりすることがあります。

さて、このCm7/F
分析がまだでした。

ベース音が何であれ
これの働きはCm7と同じです。

ですのでIIm7ですね。

次のF7とツー・ファイブを形成し
最後のB♭にドミナント・モーションで到達します。

ex562

はい。

これでコード進行の分析がめでたく終わりました。

今回は

ベース音に違う音を用いる

という新しい技が出てきましたね。

こういうのはホント実例に当たらないと
なかなかわかりづらいんですよね。

さて、ここでちょっと補足しておくことがあります。

臨時記号の表記

臨時記号の表記

音を上げ下げする指示を表す

♯(シャープ)

とか

♭(フラット)

また、これらをリセットする♮(ナチュラル)のことを
臨時記号と言います。

これ、楽譜を書く時には
音符のすぐ左にかかれますよね。

こんな具合。

ex563

一方で、コード名などで表記する時には

C♯m7

のようにアルファベットの右に表記します。

音に臨時記号をつけたことを表す時も

ド♯

のように音名の右に表記してきました。

ところが先ほど
ローマ字表記でコードの働きを分析したとき

ex564

このように左側に書きました。

なんでこう書いたかといいますと

その方が一般的だから

ということになります。

右に書いても構わないのですが

世間では左に書く方が
なんでだか多いんですよね。

なんの注釈もなく
いきなりこういう表記を出してしまったので

ちょっと混乱してしまったかもしれません。

音楽ではこういう微妙に定まっていない表記があります。

たとえば以下のコード表記は
全部同じ「Cメジャーセブンス」を表しています。

ex565

ということで
ちょっと補足でした。

さあ、今回はここまでです。

次回は「いつか王子様が」のメロディーについて
一緒に考えていきましょう。

ではまた次回!

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Posted by t.k