初心者におくる作曲方法のコツ!第26回 短調について考えてみよう その1
こんにちは!
今回は暗い曲、短調について考えてみます。
今まではずっと明るい長調の曲でしたので
久しぶりに短調のことも思い出してみましょう。
では参りましょう!
短調のおさらい
そもそも短調とは?
長調と短調についてお話ししたのは第3回でした。
ずいぶんと昔のことなので
軽く思い出しておきましょう。
はい、これがハ短調です。
「ハ」の音、つまり「ド」を中心にした短調ですね。
ト音記号の右に
フラットが3つ書いてあります。
「この曲の全体にわたって、ミ・ラ・シは半音下げなさいよ」
という意味です。
(楽譜のミ・ラ・シに当たる部分にフラットが書いてありますね)
同じく「ド」を中心にした長調
ハ長調は以下です。
短調とは
長調の3番目・6番目・7番目の音を
半音下げたものだということがわかりますね。
3種類の短調
短調とは不完全なものである
ということもお話ししました。
覚えてますか?
長調みたいに終わった感が
出しづらいことを克服するために
苦肉の策で考え出されたのが
和声的短音階
でした。
7番目の音を長調の時と同じように
元に戻したんですね。
終わった感は出ましたけど
「ラ♭ → シ」のところ
ちょっと音が飛んでる感じがするな
というので
そこも克服しようとして生み出されたのが
旋律的短音階
でした。
6番目の「ラ♭」も元に戻したんですね。
そして、一番最初に紹介した
最も基本の短調の音階を
自然的短音階
というのでした。
この3種類の短調を
場合に応じて使い分けます。
ここまで短調についてのおさらいでした。
短調の和音
短調で使って良い和音とは?
さて。
長調の曲で使って良い和音ってありましたよね。
これです。
同じことを短調でもやってみましょうか。
確かに暗い曲っていう感じがしますね。
ちょっと音をリッチにしたものも
聞いてみましょうか。
音楽っぽくなりましたね。
これらのコードが
基本的にはハ短調の曲で使って良いコード
ということになります。
あくまでも
これは自然的短音階の場合なんですよね。
ときどき「ラ」や「シ」が
元に戻っちゃった場合は
コードもそれに応じたものになることがあります。
たとえば
メロディーに和声的短音階を使っちゃった場合。
シが半音上がったので
シを含むコードが変わりました。
3番目、「E♭ aug」という
見かけないコードが出てきました。
augは「augmented」の略で
メジャーコードの一番高い音を
半音上げたコードのことを指します。
E♭は下から「ミ♭・ソ・シ♭」という和音ですが
この一番高い「シ♭」を半音上げたものです。
(このあと説明しますが、このコードが実際に働きをもって使われることはあまりありません)
メロディーに旋律的短音階を使っちゃった場合。
どんどん煩雑になってきました。
これ、全部がっちり覚える必要なんてないですよ。
自然的短音階の場合のものをベースにして
ときどき6番目・7番目の音が
元に戻るっていうそれだけですから。
短調での和音の働き
長調のときの各和音の働きは以下でした。
T = トニック
S = サブドミナント
D = ドミナント
ですね。
短調にももちろん各和音に働きがあります。
あるんですけれども。
長調の時みたいにスパッとしていません。
同じコードで複数の働き方をするものがあったりします。
いかに長調が完璧かということですよ、まったく。
トニック
トニックとは安定感のある和音ですね。
最初の和音
Cmはこれに該当します。
ハ長調の核の音ですからね。
同様に安定感のある和音として
E♭、A♭も該当します。
このあたり、ハ長調と似てますね。
ハ長調の場合のトニックは
C、Em、Amでした。
長調でも短調でも
1・3・6番目の和音はトニックです。
また、旋律的短音階を使った場合の
Adim
も、トニックとして使われることがあります。
ドミナント
これです、問題は。
ドミナントは、ものすごくトニックに
進みたいコードでしたよね。
ハ長調の場合はこの2つ目の音、すなわちGでした。
音階順に和音を並べると5番目の和音ですね。
ところが短調の場合。
5番目の和音を使って同じことをやってみます。
決して悪くはないんです。
ただ、終わった感に乏しいのです。
ものすごくトニックに行きたい!という
情熱をGmからは感じないんですね。
短調の音階の話をしていた時にも触れましたが
自然的短音階は終わった感に乏しいのが特徴でした。
これを克服したのが、シ♭を半音上げて
「シ → ド」という流れにしてあげることでした。
和音もそうしましょう。
おお・・・。
なんという終わりたいという欲求。
Gのものすごい中途半端さ。
すばらしいドミナントっぷりです。
というわけで
短調であっても
ハ短調のドミナントはGが該当します。
ドミナントには
半音下がっていないシが
入っていることが大事なんですね。
というわけで
和声的短音階・旋律的短音階を用いた場合の
7番目の和音、すなわち
Bdim
も、ドミナントに該当します。
長調の時と一緒ですね。
ここまで書いておいてなんですが
実は自然的短音階の時の
Gm
も、たまにドミナントとして使われることがあります。
半音下がっていないシが大事だったんですけどもね。
そういう例外が多いのが音楽のいやなところです。
サブドミナント
残るはサブドミナントです。
長調の時と同じ
2番目と4番目の和音、すなわち
Ddim、Fm
が該当します。
でも、なんでだか
A♭
も、サブドミナントとして使われることがあります。
聞いてみましょう。
どうです?
サブドミナントっぽいですよね。
また、自然的短音階のときの7番目の和音
B♭
もサブドミナントとして扱われます。
聞いてみましょう。
ただし、この7番目の和音「B♭」は
ドミナントとして扱われることも多くあります。
A♭(サブドミナント) → B♭(ドミナント) → Cm(トニック)
のような進行が多く見られます。
さあ、どうでしたか?
短調、いろいろとややこしいことがありました。
そしてやっぱり上で挙げた
E♭ aug
は出てきませんでしたね。
働きらしい働きを持って使われることは
あんまりないんですね。
次回、実際に短調の曲に触れてみましょう。
それではまた!
t.k
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