初心者におくる作曲方法のコツ!第60回 転調 その3

2018年1月26日趣味, 作曲

初心者におくる作曲方法のコツ!第60回 転調 その3

こんにちは!

今回もまだまだ転調についてです。

大事なところは
だいたい前回で終わりましたので

今回はちょっとトリッキーなものを見ていきます。

では参りましょう!

さまざまな転調 続き

さまざまな転調 続き

前回のおさらい

前回は

ピボット・コードを利用した転調

ドミナント進行を利用した転調

をご紹介しましたね。

ピボット・コードというのは

これまでの調とこれからの調の両方で
共通して使われているコードを契機として転調するやり方です。

例えばこういうのですね。

ex659

2小節目のFに

C-Majorの「IV」の役割とF-Majorの「I」の役割と
2つの役割を同時に負わせています。

一方で、ドミナント進行を利用した転調というのはこういうのです。

ex660

とにかく5度下がりたくて仕方のないという
セブンスの和音の性質を利用した転調ですね。

転調したい先の調の5度上のセブンスのコードを使うわけです。

今回は、このドミナント進行を利用した転調を
もうちょっと掘り下げます。

ドミナント進行しない転調

いきなり矛盾したタイトルになりました。

セブンスの和音が出てきたら

聞いている側としては
5度下がるだろうなという感覚を持ちます。

そこを

あえて5度下がらない

というフェイクをやろうじゃないかというわけです。

半音下がる

たとえばこんなのはどうでしょう?

ex661

セブンスのコードから5度下がらずに

半音だけ下がる

という転調です。

ここに注意!

元の調から半音下がるのではなく
あくまでセブンスの和音から
半音下がっていることに注意しましょう!

ここではたまたま元の調がC-Major
セブンスの和音でC7を使っているので
どっちでも一緒の結果になってしまっています。

B-Major(ロ長調)に転調しました。

わりと自然に聞こえますよね。

もうひとつ。

ex662

G7はC-Majorという調では
イレギュラーではないんですけどね。

あえてドミナント進行しないで
半音下がる転調の契機として使いました。

G7から半音下がってG♭-Majorへの転調です。

1音上がる

1音上がるというのもできますよ。

ex663

はい。

C7から1音上がって
D-Major(ニ長調)になりました。

これも悪くない転調ですね。

半音上がる

半音上がったっていいんです。

ex664

C7から半音上がってC♯-Majorですね。

すごいシャープの数です。

これもちゃんと転調できていますね。

こうしてみると

どんな転調をしたっていいんじゃないかと
思われるかもしれませんね。

実際、わりとなにをやってもいいんですが
多く使われるものをご紹介しています。

あと2つ、ご紹介しますよ。

増4度上がる

増4度上がります。

ex665

フラットがおおいですね。

G♭-Majorに転調しました。

長6度上がる

これで最後。

長6度上がります。

ex666

はい。

これも自然に転調できていますね。

ここまで、セブンスの和音からの転調で
よく使われがちなものを見てきました。

5度下がるのが1番気持ちいいんですけどね。

こういう、ちょっと予想を裏切るようなのも
たまには悪くないですよ。

エクステンデッド・ドミナントを使った転調

エクステンデッド・ドミナントってなんでしたっけ?

くわしくは第43回第44回第45回
読み返していただきたいのですが

まず

ドミナント・モーションをどんどん延長できますよ

というのがひとつですね。

たとえば

G7 → C

という、ドミナントからトニックへの流れがあったとき

このG7の前にも
ドミナント・モーションをする和音をつけることができます。

D7 → G7 → C

というふうな
G7の5度上のセブンスの和音ですね。

で、これを前方にどんどん延長できるわけです。

E7 → A7 → D7 → G7 → C

という、ひたすら5度下がるを繰り返す
これがエクステンデッド・ドミナントです。

もうひとつ、ツー・ファイブというのもありました。

Dm → G7 → C

という、サブドミナント・ドミナント・トニックの流れがあったときに

このDmの前にドミナント・モーションをいれると

A7 → Dm → G7 → C

となります。

このA7の前にも
サブドミナントに当たるようなコードをつけることができます。

4度下のマイナーコードがそれに当たります。

Em → A7 → Dm → G7 → C

という、Dmにいたる「Em → A7」のツー・ファイブが
Dmの前にくっつくわけです。

ゴールであるDmの2度上・5度上のコードだから
「ツー・ファイブ」ですね。

これもどんどん前方に延長できまして

Emの前にもEmにいたる
ツー・ファイブをつけることができます。

Emにいたるドミナント・モーションは

B7 → Em

ですね。

このB7の前にサブドミナント的な役割のコード
すなわち、4度下のマイナーコード

F♯m

をつけて、ツー・ファイブの動きにするわけです。

「F♯m → B7」 → 「Em → A7」 → 「Dm → G7」 → C

ということですね。

かぎかっこで囲った部分がそれぞれツー・ファイブです。

説明が長くなりました。

要は、このドミナント・モーションの延長を使って
行きたい調に転調しようというわけです。

C-MajorからD-Majorに転調したいとします。

D-Majorに転調してから最初に出てくるコードがDだと仮定しましょう。

Dにいたるエクステンデッド・ドミナントを考えます。

A7 → D

これにツー・ファイブのツーに当たるEmをくっつけます。

Em → A7 → D

Emの前にEmにいたる
ドミナント・モーションをくっつけます。

B7 → Em → A7 → D

B7の前にツー・ファイブのツーに当たるF♯mをくっつけます。

F♯m → B7 → Em → A7 → D

さらに前に伸ばしてみましょうか。

F♯mの前にもツー・ファイブをくっつけます。

G♯m → C♯7 → F♯m → B7 → Em → A7 → D

さらに、G♯mの前にもツー・ファイブをくっつけます。

A♯m → D♯7 → G♯m → C♯7 → F♯m → B7 → Em → A7 → D

さすがにもういいか。

これを使って転調しますよ。

ex667

はい。

見づらい楽譜になってしまってすみません。

大変なことになっています。

こんな大変な思いをして転調しなきゃいけないのか。

あくまで、ツールとして知っていれば便利という程度のものです。

こんなに長々とエクステンドしなくてももちろん大丈夫です。

2回くらいで普通は十分です。

また、ツー・ファイブのツーの部分のマイナーコードに
セブンスを足した音を使っていますが

この方がサブドミナント感が強まるのでこうしました。

さて、最後、ものすごくわかりづらい話になってしまいましたが
これで転調については一応終了になります。

これでようやく理論として触れなければならないものは
全て網羅しました。

次はまた別のお話をします。

また次回!

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Posted by t.k