初心者におくる作曲方法のコツ!第65回 二人でお茶を その5
こんにちは!
いよいよ「二人でお茶を(Tea for Two)」の分析も最終回です。
あとほんの2段なんですけど
ここが最も難しいところです。
頑張っていきましょう!
二人でお茶を 続き
しつこいようですが、曲はこちらですね。
楽譜です。
※クリックすると楽譜が大きく表示されます
楽譜に忠実にピアノで弾いたものはこちら。
前回までやった分析がこちらですね。
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Cセクションの水色で囲ったコードが重要だよ
というところまでで前回が終わりました。
25~28小節目
G♭7の位置付け
この、水色で囲った部分だけで分析すると
Cm7(♭5) → F7 → B♭m7
の箇所が
前にも出てきた
IIm7(♭5)/IIm7 → V7/IIm7 → IIm7
を構成していることがわかりますね。
では
Cm7(♭5)とF7にはさまれたG♭7は何でしょう?
第61回でこんなことに触れたのを覚えていますか?
セブンスから半音下がるのも、ドミナントに似た効果がある
以下のような例を紹介しました。
つまり
G♭7 → F7
という流れはドミナントに似たものなんですね。
ここだけ取り出してみると、こうなります。
すごくややこしい書き方になっていますが
つまりは
G♭7はV7/IIm7から見て
半音上のセブンス=II♭7ということです。
ドミナントに似た動きということで
点線でF7に着地させました。
これを全体の流れで見るとこうなります。
Cm7(♭5) → F7というツー・ファイブの中に
ドミナント進行に似たものが入っているという
入れ子構造
になっているんですね。
ツー・ファイブの進行の中にワンクッションあると言ってもいい。
Ao7の位置付け
F7とB♭m7にはさまれたAo7についても見てみましょう。
経過和音
という単語を覚えておいででしょうか。
第49回で以下のような例をご紹介しました。
Cから直接Dmに行くのではなく
半音ずつ
C → C♯o → Dm
というふうに
スムーズに和音を移動していく助けになるのが
経過和音
です。
ディミニッシュのコードは
この経過和音として使いやすいんですね。
「二人でお茶を」に話を戻しましょう。
F7からB♭m7に素直に行けば
なんてことのないドミナント進行です。
でも、ちょっとワンクッション入れたくなっちゃったんですね。
で、経過和音的なAo7を挿入してみたと。
つまり、こうです。
I♯o7と表記しましたが
あんまり意味はありません。
ベース音がラ → シ♭というふうに
順に進んでいて
経過和音として働いています。
でも、F7からAo7はあんまりつながりが良くないように見えますね。
ファからラですもんね。
でも、ここにもちゃんと意味があります。
F7はこうですね。
対して、Ao7はこうです。
この2つのコード、よく似てるんですよね。
ラ・ド・ミ♭の3音が共通しているんです。
というわけで
ベース音の進行はちょっと飛んじゃっていますが
F7からAo7への移行は、わりとスムーズなんですね。
拡大解釈すれば経過和音としての働きをしていると言えなくもない
といったところでしょうか。
再度G♭7
さあ、28小節目最後のG♭7を見てみましょう。
今度はさっきと違って半音下がるとかではありませんね。
29小節目の最初はCm7です。
これは、A♭-Majorで普通に使うコード
IIIm7ですね。
IIIm7というのはトニックです。
G♭7から5度下がってはいないものの
行き着く先はトニックです。
G♭7がドミナントの働きをしていると考えるのがしっくりきます。
でも、A♭-MajorでG♭7は出てきません。
さあ、これはなんだ?
答えを言ってしまいますが
これは
モーダル・インターチェンジ
です。
ここだけ、A♭-minorの和音を借りてきているんです。
A♭-minorで考えると
G♭7は
VII♭7
ですね。
短調のVII♭7はドミナントの働きをすることがあります。
今更ですが
第26回で短調の説明をしたときに
VII♭7はサブドミナントとして扱われる
と書きましたが
ドミナントの働きもするんです。
すみません。
短調のややこしいところです。
とにもかくにも、ドミナントから変則的にIIIm7のトニックに行きます。
G♭7の前にあるD♭maj7はサブドミナントなので
D♭maj7 → G♭7の進行は
サブドミナント → ドミナント
ですね。
29~32小節目
さあ、最後です。
ここまで来たらもうあとは楽ですね。
F7はB♭m7のセカンダリー・ドミナントです。
となると、その前のCm7はIIIm7というよりは
F7とツー・ファイブを構成している
と見るほうがいいですね。
IIIm7ではなく、IIm7/IIm7と解釈しましょう。
E♭7はドミナントですね。
セオリー通り5度下がって
Imaj7であるA♭maj7に進みます。
B♭m7とE♭7で
ツー・ファイブを構成していることも忘れないようにしましょう。
さあ、これですべての分析が終わりました。
でも、実は問題が残されています。
半音x1の回避
29小節目、最初の和音がCm7に対して
メロディーがラ♭。
つまり、Cm7を構成しているソの音と半音x1を構成してしまいます。
31小節目もそうですね。
A♭maj7に含まれるソの音と
メロディーのラ♭が半音x1です。
間違いなのか?
仮に間違いだとしても楽譜にある以上は最大限尊重しなきゃいけません。
まあ、これはしょうがありませんのでね。
伴奏から半音x1を構成する音は省くのがひとつの選択肢です。
こんな感じ。
3和音ないしは4和音すべての音を
のべつまくなしに必ず使わなければいけないということはありません。
ただ、ルートは基本的には省けません。
また、和音がメジャーなのかマイナーなのかを決める
ルートから3度の音も省かないほうがいいですね。
(あえて、明るい和音か暗い和音かをあいまいにするために省くことはあります)
5度の音はまれに省かれることがあります。
もうひとつの選択肢。
半音x1を構成する音をメロディーより高い音にしてしまう方法です。
最後の小節です。
maj7の部分であるソの音が最後に出てきますが
メロディーより上の音です。
メロディーより上に来ることによって
半音x1ではなく
半音x11
となるのです。
これは禁忌ではありません。
全体の分析はこうなりました。
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さあ、長らくやってきました「二人でお茶を」ですが
これにて分析を終了したいと思います。
難しいところもいろいろありましたね。
この「二人でお茶を」は、かなり分析が難しい曲でした。
曲を分析することの意義は
こういう音がほしいときにはこうすればいい
ということを
理屈で理解できるということにあります。
たとえばCメロの25~28小節目みたいな
こじゃれた盛り上がりが欲しい時。
こういうコード進行をすればいいんだなということがわかります。
さあ、次回はこれまで取りこぼした様々な事柄についてご紹介します。
また次回!
t.k
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