初心者におくる作曲方法のコツ!第51回 いつか王子様が その4
こんにちは!
前回で「いつか王子様が」の
コード進行の分析が終わりました。
今回はメロディーをいろいろと見ていきますよ。
きっと自分で曲を作るときのヒントがあります。
張り切っていきましょう!
いつか王子様が 続き
メロディー分析
まずは「いつか王子様が」の楽譜と音を確認しましょう。
しつこいようですけど
4分の3拍子でB♭-Majorの曲ですね。
では、実際にメロディーを見ていきましょう。
1段目~2段目
まず、1段目と2段目を見ていきましょう。
1小節目は問題ないですよね。
ファはB♭maj7に含まれる音ですから
ごくごく素直に始まりました。
2小節目、コードはさておきシ♭もダイアトニックな音です。
問題は次のファ♯です。
この、B♭-Majorでは通常使わない
ダイアトニックではない音を
作者は使いたかったんですね。
だってこれ、普通に作ったらこうですもんね。
2節目、メロディーにシ♭が出てくるので
半音x1を形成しないように
コードをB♭maj7ではなくB♭にしましたが
なんでファ♯を使ったのか?
これは、作者でないとわからないところなので
あくまでも推測でしかないのですが
この曲、白雪姫がいつか王子様が迎えに来てくれると
夢を見る気持ちを歌ったものです。
徐々に高揚していく気持ちを表すために
ファ♯を用いたのではないかと。
もともとファから始まったメロディーが
元のファではなく半音高いファ♯に戻ってくる。
階段をひとつ上がったような効果がありますね。
ここで、1段目と2段目を比べてみましょう。
1段目と2段目の
音の上がり下がりをグラフのように示しました。
音の長さも1段目と2段目で一緒ですね。
音の高さこそ違えど
1段目と2段目でやっていることは同じです。
ということで
2段目の2小節目でもダイアトニックではない
通常使う音より半音高い音に下がってきています。
さっきと同じように
ダイアトニックな音だけで作った場合と
この曲のように半音上がった音を使った場合をくらべてみます。
ダイアトニックな音だけで作った場合。
半音上がった音を使った場合。
ドリーム感が違いますよね。
だんだんと高揚していく感じが確実に違います。
ダイアトニックな音だけで作った場合も
悪い曲ではないんですけどね。
夢見る乙女の気持ちを代弁するには
ちょっと落ち着きすぎています。
3段目~4段目
次です。
2段目、最後の小節は
1段目に習うなら
となるところを
たたみかけるように次のフレーズが始まります。
この赤いカッコでかこってある部分で1つのフレーズですね。
ここでは全く同じフレーズを2回繰り返しています。
今回はもう上昇していくような感じはありませんね。
高いところで音をキープしています。
ここはいったん
白雪姫がちょっと落ち着くんですかね。
ファーファ・ラーラ・ファーと
元々いた位置に戻ってきます。
1段目と2段目で
すでに上昇していく感じを2回繰り返していますのでね。
似たようなことは繰り返しても2回、せいぜい3回くらいまでがいいですよね。
これ、ずいぶん昔に第8回で触れましたよ。
覚えてますか?
そして、繰り返し記号に従って
最初から繰り返し2カッコに進みます。
5段目~6段目
先ほどの1カッコでは
前の小節の「ドレミ」からフレーズが始まりましたが
今回は違います。
前の小節の「ドレミ」は導入でしかありません。
フレーズで分けるとこうなります。
1段目・2段目の時と同じように
音の上がり下がりをグラフにしました。
こうするとわかりやすいですね。
そして、これまでで最も高い音がここで登場していますね。
曲の最高潮を迎えています。
さて、ここでひとつ問題が生じます。
5段目の1小節目
ミにナチュラルが付いています。
でもコードのFm7にはミ♭が含まれます。
おっと、半音x1が生じてしまっていますね。
これは間違いなんでしょうか。
ためしに、ミ♮をミ♭にして聞いてみましょう。
うーん、やっぱりミ♮の方がいいような気がします。
本来的には半音x1は避けたほうがいいものです。
ですがこの場合
それよりも曲の良さを取ったということなのでしょうね。
ひとつ、この半音x1が出てきているのが
2拍目の裏
であるというのがポイントです。
「拍の裏」とは
例えば1拍目と2拍目の真ん中=1.5拍目を
1拍目の裏もしくは裏拍(うらはく)
というふうに呼びます。
逆に、通常の「〇拍目」のことを
表もしくは表拍(おもてはく)と呼びます。
伴奏の「ズンチャッチャ」という音が
1拍目・2拍目・3拍目の表に鳴っているのに対し
その裏を縫うようにミ♮が出てきています。
そのため、半音x1の耳に痛い音を回避しているとも言えます。
一方で、続きの3・4小節目はどうかというと
3小節目のシの音は半音上がっていません。
これは、シが2拍目の表にいるからなんですね。
ためしに半音上げてみましょう。
ちょっとイラッとしますね。
じゃあ、1小節目と同じように2拍目の裏にしたら?
いくぶんイラっとくる感じはおさまりました。
半音x1をどうしても使いたい場合は
裏拍に短い音符で使うべし
ということが言えますね。
さてこの5段目。
1小節目・2小節目よりも
3小節目・4小節目のほうが
音が下がっていますね。
終わりに向けて
曲を落ち着かせに入っています。
そして6段目。
ファーミ♭レードシ♭ー
と、ごくごく穏やかに曲は終わりを迎えます。
メロディー全体像
全体のおおまかな曲の上がり下がりをまとめます。
1段目・2段目・・・似たことを2回繰り返しつつ、テンションを上げていく
3段目・4段目・・・同じことを2回繰り返しつつ、高めでキープ
5段目・6段目・・・最も高い音を使って盛り上げ、徐々にテンションを下げて終わりに向かう
こうして見ると、曲全体の構成は非常に
オーソドックスにできていることがわかります。
奇をてらうことなく徐々に盛り上げて
徐々に盛り下げて終わるという構成です。
Aメロ – Bメロ – Aメロ – Cメロ(サビ)
という構成ですね。
さて、メロディーの分析はこれで終わりです。
と同時に、この「いつか王子様が」の分析も終わりとなります。
できたら別の曲もご自身でためしに分析してみてください。
きっとなにか発見があります。
もう何曲か分析したいんですが
それはちょっと先に飛ばしまして。
また、積み残しになっている
転調についても先延ばししまして。
次からはごくごく簡単な
アレンジの初歩についてお話しします。
ではまた次回!
t.k
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