初心者におくる作曲方法のコツ!第68回 補足いろいろ その3 4度・5度の和音
こんにちは!
今回はちょっと変わったコードをいろいろとご紹介しますよ。
ちょっとクラシック寄りの話になってしまいますが。
メジャー、マイナーにとらわれず
どんどん自由になっていきましょう!
様々な和音
ちょっと音楽の歴史
いきなり和音の話をする前に
ちょっと音楽の流れをお話しましょう。
これまでお話ししてきた長調だとか短調の音楽を
調性音楽
といいます。
言ってしまえば
我々が「音楽」ときいて思い浮かべるものはほぼコレです。
1600年台後半にだいたいの形が定まりまして
それから延々、音楽の基準となっています。
ところが、1900年になるちょっと前あたりから
音楽にもうちょっと別の可能性があるんじゃないかと
探り出した人たちがいました。
そういう動きのひとつの到達点として
20世紀前半に
無調
という音楽が生まれました。
調を感じる要素を排除してしまったんです。
どういうものでしょう。
例をひとつ挙げます。
シェーンベルクという作曲家の「月に憑かれたピエロ」という曲です。
1912年の作品ですね。
なんだかさっぱりわからない曲ですよね。
コード進行とかそういう「音楽的なもの」を一切排除しているので
あんまり音楽っぽい感じがしません。
これが、20世紀のいわゆる「芸術」の中心になります。
でも、調性音楽がいきなり無調になったわけではなく
その経過段階でいろんな試みがなされました。
その経過段階の方は、まだ普通に音楽的です。
今回ご紹介するのは、そちらの方です。
歌を作る際にはあまり使う機会がないかもしれませんが
BGMみたいなものを作る際にはわりと使います。
知識として知っておくといいですよ!
4度の和音
これまで使ってきた和音は、3度が構造の基準でした。
これはFmaj7ですが長3度と短3度の積み重ねでできていますね。
これ、別に3度じゃなくてもいいんじゃない?
と思った人がいました。
4度とかね!5度とかね!
と、1900年位の作曲家が思ったんですね。
具体的には、ドビュッシーとかラベルとかです。
名前だけはご存じの方も多いでしょう。
4度の和音とはこんな感じ。
明るくも暗くもない輪郭のはっきりしない音ですよね。
完全4度と増4度の組み合わせですが
完全4度どうしでも構いません。
増4度どうしでも。
あるいは、「完全4度と増4度」「完全4度どうし」「増4度どうし」が
曲の中で混在しても一向に構いません。
そもそも音楽なんて、聞いておかしくなければいいんです。
なんか違うなと思ったら
完全4度と増4度を入れ替えて試してみましょう。
たとえば、こんなピアノ曲を作ってみました。
前半2小節が、この4度の和音を右手で弾いています。
非常に独特な響きです。
明るいか暗いかの判断基準ではなく
たとえば
幻想的か現実的か
みたいな基準で考えるような印象を受けます。
そう、この和音を愛用したドビュッシーやラベルは
音楽史でいうところの印象派に分類されるんですね。
明るい!暗い!というはっきりしたものではなく
「なんかこんな感じかな・・・??」という
印象を表現するのにぴったりの和音です。
あるいは。
日本の昔からあるような音楽というのは和音感が希薄です。
民謡とかですね。
長調だ短調だという西洋音楽の分類は即しません。
そういうものを表現したいときにも
この4度の和音は有効です。
こんな感じ。
2つの音からなる和音ですが
右手が4度の和音を弾いています。
5度の和音
5度でもいいんですよ。
これも、明るい暗いを決する3度の音が入っていないので
明るいとか暗いという感じは受けません。
作ってみましたよ。
荘厳な響きがあります。
ゲームで言うと、ラスボスの住む神殿に入っていったような感じですかね。
例として、4度・5度の和音を多く使っているドビュッシーの曲を挙げておきます。
「沈める寺」という曲です。
寺といってますけど、西洋の大聖堂のことですよ。
やっぱり荘厳・神秘的な題材ですね。
4度とか5度の和音は独特な印象をもたらすので
ゲームや映像にうまくはまると実に効果的です。
今回ご紹介したのは4度と5度の和音ですが
2度だって6度だって7度だって、なんだっていいんです。
自分が欲しい音になってさえいれば。
これまで避けるべきとしてきた半音x1だって
危機が迫っているようなシーンのBGMだったら全然アリですよ。
いろいろ試してみましょう。
再び音楽の歴史
さて、こんなふうに従来の和音とは違う響きの和音を取り入れまして
各国の民謡の音階を取り入れたりする動きもありました。
あるいは、すでにアメリカで生まれていたジャズの感覚を
クラシックの世界に取り入れようとした人もいます。
(具体的にはストラビンスキーとかですね)
つまりですね、煮詰まったらちょっと違った要素を取り入れてみると
なにかが見えてくるかもしれません。
バラードを作っているけど、ちょっと気分転換にロックを聞いてみたり。
ちなみに、無調音楽はその後どう発展したか。
様々な方向に進化しましたが、そのいくつかを。
ひとつは、映画音楽などでその手法が用いられることがあります。
無調ゆえの無機質さ・不気味さを
ホラーとかミステリーで活かすんですね。
前衛という方向に進化したものもあります。
演奏者は音を出さずただ座っているだけで
観客の出す物音など
その場限りで生まれる音すべてを作品だとするもの。
テープに録音して、それをランダムに切った貼ったを繰り返し
その結果生まれたものを作品とするもの。
みなさん、いろいろと新しいものを生み出そうと苦労してるんですね。
まあ、こういう前衛音楽はちょっと別物ですけれどもね。
さ、今回はここまでです。
また次回!
t.k
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