初心者におくる作曲方法のコツ!第60回 転調 その3
こんにちは!
今回もまだまだ転調についてです。
大事なところは
だいたい前回で終わりましたので
今回はちょっとトリッキーなものを見ていきます。
では参りましょう!
さまざまな転調 続き
前回のおさらい
前回は
ピボット・コードを利用した転調
と
ドミナント進行を利用した転調
をご紹介しましたね。
ピボット・コードというのは
これまでの調とこれからの調の両方で
共通して使われているコードを契機として転調するやり方です。
例えばこういうのですね。
2小節目のFに
C-Majorの「IV」の役割とF-Majorの「I」の役割と
2つの役割を同時に負わせています。
一方で、ドミナント進行を利用した転調というのはこういうのです。
とにかく5度下がりたくて仕方のないという
セブンスの和音の性質を利用した転調ですね。
転調したい先の調の5度上のセブンスのコードを使うわけです。
今回は、このドミナント進行を利用した転調を
もうちょっと掘り下げます。
ドミナント進行しない転調
いきなり矛盾したタイトルになりました。
セブンスの和音が出てきたら
聞いている側としては
5度下がるだろうなという感覚を持ちます。
そこを
あえて5度下がらない
というフェイクをやろうじゃないかというわけです。
半音下がる
たとえばこんなのはどうでしょう?
セブンスのコードから5度下がらずに
半音だけ下がる
という転調です。
ここに注意!
元の調から半音下がるのではなく
あくまでセブンスの和音から
半音下がっていることに注意しましょう!
ここではたまたま元の調がC-Major
セブンスの和音でC7を使っているので
どっちでも一緒の結果になってしまっています。
B-Major(ロ長調)に転調しました。
わりと自然に聞こえますよね。
もうひとつ。
G7はC-Majorという調では
イレギュラーではないんですけどね。
あえてドミナント進行しないで
半音下がる転調の契機として使いました。
G7から半音下がってG♭-Majorへの転調です。
1音上がる
1音上がるというのもできますよ。
はい。
C7から1音上がって
D-Major(ニ長調)になりました。
これも悪くない転調ですね。
半音上がる
半音上がったっていいんです。
C7から半音上がってC♯-Majorですね。
すごいシャープの数です。
これもちゃんと転調できていますね。
こうしてみると
どんな転調をしたっていいんじゃないかと
思われるかもしれませんね。
実際、わりとなにをやってもいいんですが
多く使われるものをご紹介しています。
あと2つ、ご紹介しますよ。
増4度上がる
増4度上がります。
フラットがおおいですね。
G♭-Majorに転調しました。
長6度上がる
これで最後。
長6度上がります。
はい。
これも自然に転調できていますね。
ここまで、セブンスの和音からの転調で
よく使われがちなものを見てきました。
5度下がるのが1番気持ちいいんですけどね。
こういう、ちょっと予想を裏切るようなのも
たまには悪くないですよ。
エクステンデッド・ドミナントを使った転調
エクステンデッド・ドミナントってなんでしたっけ?
くわしくは第43回、第44回、第45回を
読み返していただきたいのですが
まず
ドミナント・モーションをどんどん延長できますよ
というのがひとつですね。
たとえば
G7 → C
という、ドミナントからトニックへの流れがあったとき
このG7の前にも
ドミナント・モーションをする和音をつけることができます。
D7 → G7 → C
というふうな
G7の5度上のセブンスの和音ですね。
で、これを前方にどんどん延長できるわけです。
E7 → A7 → D7 → G7 → C
という、ひたすら5度下がるを繰り返す
これがエクステンデッド・ドミナントです。
もうひとつ、ツー・ファイブというのもありました。
Dm → G7 → C
という、サブドミナント・ドミナント・トニックの流れがあったときに
このDmの前にドミナント・モーションをいれると
A7 → Dm → G7 → C
となります。
このA7の前にも
サブドミナントに当たるようなコードをつけることができます。
4度下のマイナーコードがそれに当たります。
Em → A7 → Dm → G7 → C
という、Dmにいたる「Em → A7」のツー・ファイブが
Dmの前にくっつくわけです。
ゴールであるDmの2度上・5度上のコードだから
「ツー・ファイブ」ですね。
これもどんどん前方に延長できまして
Emの前にもEmにいたる
ツー・ファイブをつけることができます。
Emにいたるドミナント・モーションは
B7 → Em
ですね。
このB7の前にサブドミナント的な役割のコード
すなわち、4度下のマイナーコード
F♯m
をつけて、ツー・ファイブの動きにするわけです。
「F♯m → B7」 → 「Em → A7」 → 「Dm → G7」 → C
ということですね。
かぎかっこで囲った部分がそれぞれツー・ファイブです。
説明が長くなりました。
要は、このドミナント・モーションの延長を使って
行きたい調に転調しようというわけです。
C-MajorからD-Majorに転調したいとします。
D-Majorに転調してから最初に出てくるコードがDだと仮定しましょう。
Dにいたるエクステンデッド・ドミナントを考えます。
A7 → D
これにツー・ファイブのツーに当たるEmをくっつけます。
Em → A7 → D
Emの前にEmにいたる
ドミナント・モーションをくっつけます。
B7 → Em → A7 → D
B7の前にツー・ファイブのツーに当たるF♯mをくっつけます。
F♯m → B7 → Em → A7 → D
さらに前に伸ばしてみましょうか。
F♯mの前にもツー・ファイブをくっつけます。
G♯m → C♯7 → F♯m → B7 → Em → A7 → D
さらに、G♯mの前にもツー・ファイブをくっつけます。
A♯m → D♯7 → G♯m → C♯7 → F♯m → B7 → Em → A7 → D
さすがにもういいか。
これを使って転調しますよ。
はい。
見づらい楽譜になってしまってすみません。
大変なことになっています。
こんな大変な思いをして転調しなきゃいけないのか。
あくまで、ツールとして知っていれば便利という程度のものです。
こんなに長々とエクステンドしなくてももちろん大丈夫です。
2回くらいで普通は十分です。
また、ツー・ファイブのツーの部分のマイナーコードに
セブンスを足した音を使っていますが
この方がサブドミナント感が強まるのでこうしました。
さて、最後、ものすごくわかりづらい話になってしまいましたが
これで転調については一応終了になります。
これでようやく理論として触れなければならないものは
全て網羅しました。
次はまた別のお話をします。
また次回!
t.k
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