初心者におくる作曲方法のコツ!最終回 補足いろいろ その4 ブルース
こんにちは!
今回はブルースのお話をします。
西洋音楽というと、その発祥と発展はヨーロッパですが
今回はアメリカ生まれの音楽です。
はりきっていきましょう!
ブルース
パンクだファンクだジャズだクラシックだと
音楽にはいろいろとジャンルがありますが
だいたいの耳にする音楽のジャンルは
西洋音楽のルールにのっとっています。
だけどジャズとかR&Bなんかは
明らかに聞いた感じがクラシックとは違いますよね。
もちろん、楽器がバイオリンとかピアノじゃなくて
エレキギターとかドラムを使っているせいもあるでしょう。
でも、なにか違うエッセンスが追加されているような。
そのひとつが今回お話するブルースなんです。
西洋音楽にブルースの要素を追加することで
今日のポピュラー音楽への道筋ができたんですね。
これが世界で最初にレコーディングされたブルースと言われています。
メイミー・スミスさんの「Crazy Blues」です。
ブルースとは?
軽く歴史をお話しします。
19世紀の終わり頃
アメリカ南部で黒人労働者たちから自然発生的にうまれた
いわば民謡のようなものです。
奴隷制度が廃止されたとはいえ
まだまだ貧しい環境にあった黒人たちが
こんなことがあったよね、あんなこともあったよね、と
歌っていたのがブルースのルーツです。
当然、ヨーロッパの音楽にもとづいているわけもなく
黒人の人達の持って生まれたリズム感とか音感とかから来たものです。
これが、白人社会に知られるところとなり
1920年頃にレコード化されました。
そして、ジャズやロックにその「感じ」が取り入れられていったのです。
というわけで、ブルースについてちょっと知っていると
かっこいいフレーズができたりするかもしれません。
ちなみに、日本でもタイトルに「ブルース」とつく歌謡曲が
いろいろとありましたが
(淡谷のり子さんとか青江三奈さんの歌った曲が有名ですね)
今回お話するブルースとは別物でして
「ブルース」という言葉の雰囲気からタイトルに取り入れたものと思われます。
ブルース形式
これまで、C7とかG7のようなセブンスのコードというのは
主にドミナント進行する場面で登場してきましたよね。
でも、ブルースはドミナント進行とかどうでもいいんです。
すべてがセブンスのコードでできています。
C-Major(ハ長調)の場合
以下のようなのが
ブルースの進行(=ブルース形式)です。
ローマ数字で表すと
I7 I7 I7 I7
IV7 IV7 I7 I7
V7 V7 I7 I7
となりますね。
でも、ハ長調だと通常使っていい音はこうですよね。
一方で、C7にはシ♭が出てくるし、F7にはミ♭が出てくる。
でも、ブルースの場合はこれでいいんです。
いままで我々が見てきた音楽とは
ちょっと別のロジックでできているのがブルースなんです。
ざっと、コードに忠実にピアノを弾いたものです。
ああ、なんかこういうのあるよねっていう感じですよね。
ジャズっぽく、ちょっとスイングしてみましたよ。
(スイングに関しては第62回でご説明しています)
時代によって、あるいは演奏者によって
コード進行はいろいろと変化したりしますが基本はこれです。
(ジャズの演奏家さんなんかがブルースをやるときは
もうちょっと複雑なコード進行にしたくなっちゃうようです)
12小節で1コーラスっていうのもちょっと変わって見えますよね。
今までやってきたのは、だいたい8小節単位でしたもんね。
でもブルースはこれでいいんです。
そもそも、ブルースをそのまま作曲する機会はなかなかないでしょうから
知識として知っておけば十分です。
ブルース進行のバリエーションに関しては
Wikipediaの「ブルース進行」の項の記述が充実しています。
ブルースの音階
ブルースを作曲や演奏に活かすときの肝はここです。
長調の音階をそのまま使っているんじゃないことは
さっき見た形式でわかりますよね。
シ♭とかミ♭とか出てきてますし。
この、ミ♭・シ♭、
さらにソ♭がブルースに特有の音です。
長音階でいうと第3・5・7音を半音下げたものですね。
この♭3・♭5・♭7の音をブルー・ノートといいます。
(第5音を半音下げたものだけをブルー・ノートと呼ぶこともあります)
そして、長音階にこの3音を加えたものを
ブルー・ノート・スケール
といいます。
こうですね。
あるいは、使用頻度の高い音を用いた以下の音階を
ブルー・ノート・スケールと呼ぶ場合もあります。
こっちのほうが聞いた感じかっこいいですかね。
(スケールとは英語で音階のことです)
下の方の音階ではミ♭が使われてて
ミ♮は使われていませんが
長調のコード進行の上で使っていいんです。
なぜならそれがブルースだから。
これ、非常に使える音階です。
この下の方の音階を基本にして
ときどき上の方の音階で出てくる音を混ぜると・・・?
なんとなくかっこいい何かができてしまいます。
ためしに、先程のブルース進行をピアノで弾いたものに
オルガンを載せてみました。
3連符が多いので煩雑な楽譜になっていますが
(煩雑なんで1段に2小節ずつにしました)
やっていることは、ブルー・ノート・スケールに入っている音を
なんとなく上下しているだけです。
ちょっと補足!
ちなみになんでこんなに3連符が多いかというと
スイング
のせいです。
タンタ、タンタと跳ねている演奏を忠実に楽譜にすると
こんなふうに3連符ばかりになってしまいます。
みづらい楽譜でスミマセン。
やっぱり、ミ♭・ソ♭・シ♭が鳴っている箇所が
洋楽っぽく聞こえます。
たとえばロックなどでも
かっこいいギターソロを弾きたいときなど
このブルー・ノートを混ぜてみると
非常にかっこいいフレーズになったりします。
また、このブルー・ノート・スケールは短調の曲でも有効です。
ブルー・ノート・スケールの中でも、短調の曲には
上記の下の方の音階がうまくはまります。
(上の方の音階だとミ♮がうまくはまりません)
ためしに、先程のオルガンをC-minor(ハ短調)に乗せてみましょう。
うまくはまりました。
R&Bやジャズを歌う歌手の方が
ときどきアドリブっぽく、かっこよさげな音をいれることがあります。
あれも、ブルー・ノートにあたる音を入れていることが多いですね。
最終回
さて、いきなりではありますが
この作曲講座は今回で最終回です。
長らくご愛顧頂きました。
「初心者に送る」を銘打ちながら
途中からだいぶややこしい話になってしまいました。
それでも、曲を作る上で重要なことは
だいたい網羅できたと思います。
かつて自分が音楽を勉強し始めたとき
今回取り上げたブルースのことや
前回の4度・5度の和音、
あるいはドミナント進行など
どれもまったく知りませんでした。
何を勉強したらいいかもわからなかったんですね。
曲なんてフィーリングが全てだぜ!
などと思っていましたけど
様々なことを知ると、ものすごく幅が広がるんですね。
この講座が音楽を勉強する上での
目次のようなものになっていればいいなと思います。
というわけで、今回はここまでで。
また別の講座でお会いしましょう!
それでは!
t.k
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