スポンサーリンク

初心者におくる作曲方法のコツ!第39回 転回形のお話

2018年1月26日趣味, 作曲

初心者におくる作曲方法のコツ!第39回 転回形のお話

こんにちは!

テンションの話は前回で終わりました。

今回は和音を変形させてみましょうか。

では参りましょう!

転回形

転回形

コードの定義をおさらい

さて、CというコードをCたらしめているのは
どんな条件でしたっけ?

もっとも単純な形のCです。

ex415

ちょっと複雑な
音を豊かにしたC。

ex416

「ド・ミ・ソ」の各音を1回以上使い

かつ

一番低い音が「ド」である

というのがCがCであるための条件でした。

ですので

これまでに何度か登場した図ですが
以下の和音はすべてCとなります。

ex417

これがG7であったら

「ソ・シ・レ・ファ」の各音を1回以上使い

かつ

一番低い音が「ソ」である

となるわけですね。

一番低い音が違ったら?

では、この2つ目の条件

一番低い音が「ド」である

というのを満たさなかったらどうでしょうか。

こんな和音。

ex418

どうです?

音の印象はCとよく似ていますよね。

でも一番低い音がドではなくてミです。

あるいはこんな音。

ex419

これもCと似てますよね。

和音を構成している音が
Cと同じ「ド・ミ・ソ」なので

音の印象が似ているのは
当然といえば当然ですが

これらはCではないのでしょうか?

答えは

Cの形を変えたもの

です。

Cの正式な形ではないけれども
Cをちょっと変えたものですよ

という和音として扱います。

トニックとかドミナントとか
サブドミナントとかの働きは

基本的には元の和音と一緒です。
(後述します)

ここでひとつ単語を覚えましょう。

和音の中でもっとも低い音

ベースもしくは
ベース音(おん)

といいます。

上記の2つの変化形は
ベース音がC以外になっているのですね。

これを和音の転回形といいます。

ex420

これはCの一番下にあったドを
くるっと一番上にひっくり返したものですね。

さらに、これの一番下のミを
くるっと一番上にすると

ソが一番下になります。

ex421

この「くるっとひっくり返す」ということから
転回形という呼び方をするんですね。

覚えなくていいですが

3番目の音(Cだったらミ)が
ベース音になっている

ex422

これを

第1転回形

5番目の音(Cだったらソ)が
ベース音になっている

ex423

これを

第2転回形といいます。

ここまでは
転回形の本来のあり方ですが

現在では転回形の定義は
以下のようになります。

Cの第1転回形の場合

「ド・ミ・ソ」の各音を1回以上使い

かつ

一番低い音が「ミ」である

Cの第2転回形の場合

「ド・ミ・ソ」の各音を1回以上使い

かつ

一番低い音が「ソ」である

つまり

先の「くるっとひっくり返した」という
本来の意味はさておき

ベース音が何番目の音なのか
ということだけで

どの転回形なのかが決まることになります。

というわけで
以下の和音は全てCの第1転回形です。

ex424

同様に以下の和音は
全てCの第2転回形です。

ex425

転回形の表記の仕方

でも毎回「Cの第1転回形」なんていうのは面倒ですよね。

これ、簡単に表記できます。

ミがベース音になったCの転回形は

C/Eもしくは、C on E

同様にソがベース音になったCの転回形は

C/Gもしくは、C on G

と表記します。

前者が簡単でいいですかね。

転回形は何に使うか?

じゃあこの転回形
どんなときに使うんでしょうか。

まず、曲の始めとか終わり
トニックを使うことが多いですが

こういう曲の中でも
もっとも大事なところでは使わないほうがいいです。

せっかくのトニック感が著しく損なわれます。

こんな感じ。

ex426

これはひどい。

ドミナントからトニックに移動しているはずなのに
ベース音が一緒だから全然終わった気がしません。

第1転回形のほうがもう少しましです。

ex427

まあでも不安定なことにかわりはないですね。

第2転回形はかなり不安定な音なので
積極的にはあまり使わないですね。

でも、絶対に使うなというほどでもありません。

これまでに何度も出てきた
第11回で作ったこの曲。

ex428

これを以下のようにしてみました。

ex429

どうですか?

第2転回形を用いたF/Cも悪くないですよね。

ベース音の動きが少なすぎて
単調になっていますが

ひとつの味であるともいえます。

Dmが出てくるまで
ベース音をドに固定して耐え忍んで

ようやくベース音がレになったときに

カタルシスを感じるようにした
といえなくもありません。

また、最後のG/Bもそこそこドミナント感がありますね。

転回形を用いたことで
演奏も簡単になりました。

この例において

転回形を使う意義というのは
以下の2つあるようにみえます。

ベース音の動きに意味を持たせる

(この場合は、なるべくベース音を動かさないようにした)

演奏を容易にする

(この場合は、ピアノの左手の動きを小さくできた)

これらの特性を活かして
転回形を用いたアレンジをしてみましたよ。

用いたのはかの有名な
「遠き山に日は落ちて」。

そもそもはドボルザーク作曲の
交響曲第9番「新世界より」第2楽章です。

ex430

はい、ご存知の曲ですね。

一番上の段がメロディー
下2段は伴奏です。

ベース音に注目してください。

ド→シ→ラ→ソ→ファ→ミ→レ
というふうに

ひとつずつ下がっているのがわかります。

でもって

最後のG7でようやくこの流れが断ち切られます。

これがベース音の動きに意味を持たせた例です。

ベース音がある規則性を持って動くのって
聞いてても気持ちいいんですよね。

うまく転回形を使うことによって

ベース音がこのように
ひとつずつ下がるとか、あるいは上がるとか

あるいはまったくベース音を動かなくするとか

ドーソードーソーのように反復させたりとか

いろいろと工夫が出来そうですね。

さあ、転回形の話はこれでおしまいです。

次回はコード進行の新たな可能性についてお話ししますよ。

お楽しみに!

The following two tabs change content below.

Posted by t.k