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初心者におくる作曲方法のコツ!第61回 二人でお茶を その1

2018年1月26日趣味, 作曲

初心者におくる作曲方法のコツ!第61回 二人でお茶を その1

こんにちは!

今回から、ジャズのスタンダードナンバーであります

「二人でお茶を(Tea for Two)」

という曲を分析していきますよ。

今までに学んできたことを総動員して
曲を分析してみましょう!

二人でお茶を

二人でお茶を

早速、曲を聴いてみましょう。

楽譜はこちら。

ex668

※クリックすると楽譜が大きく表示されます

楽譜は、動画の1:34くらいまでですね。

有名な曲なんで
聴いたことがある人もいるかもしれませんね。

この曲が書かれたのは1920年代。

そんな昔なのに、実におしゃれな曲です。

そして、分析すると実にややこしいのです。

実際に見ていきましょう。

1~8小節目

コード進行の分析

まず基本情報を確認しましょう。

調子記号を見てみると
♭が4つ書いてありますね。

A♭-Major(変イ長調)
F-minor(ヘ短調)の可能性がありますが

聴いた感じでもわかる通り
長調のA♭-Majorです。

ということは、この曲で基本的に出てくるコードはこうですね。

ex669

これを使って分析します。

まず1小節目ですが

曲は通常トニックから始まることが多いですが
この曲は違いますね。

B♭m7 → E♭7

「IIm7 → V7」という流れです。

いきなりサブドミナント → ドミナントという

ツー・ファイブ

から始まりました。

V7であるE♭7からトニックに行くのかというと
行きません。

ドミナント進行しない不発です。

こんな感じで書いてみました。

ex670

ツー・ファイブの箇所は
こんなふうに下にカッコを書くとわかりやすいですね。

E♭7から5度下がろうと勢いよく飛び出したものの
下がらせてもらえないで放り出されたので、点線です。

2小節目は1小節目の繰り返しですね。

なかなかトニックに行かないことで
ふわふわとした浮遊感のような感じがありますね。

そして今度はめでたくトニックのA♭maj7へと
ドミナント進行します。

ex671

無事に着地できました。

でもちょっと待て!

次のD♭7はなんでしょう?

A♭-Majorの曲では
通常使うコードには含まれていませんね。

イレギュラーなセブンスのコードが出てきたら
セカンダリー・ドミナントを疑うんでした。

でもその次のコード、Cm7ですから5度下がっていません。

ドミナント進行しないで半音下がった和音に行っています。

これはどう分析しましょうか。

実は、セブンスから半音下がるというのも
ドミナント進行に近い効果があります。

次のコード進行を聞いてみてください。

ex672

D♭7からCmaj7に進むとき
ちゃんと「終わった感」がありますよね。

というわけで、このイレギュラーなD♭7は

ドミナント進行によく似たことをやっている

といったところです。

特に決まった書き方はないので
♭II7 / IIIm7と書きました。

ex673

スラッシュ(斜め線)は
英語で言うところの「of」にあたります。

IIIm7であるCm7からみて半音上
つまり♭II7にあたる音ですよ、ということです。

さて、Cm7は普通に使って良いコードですね。

次のF7はA♭-Majorでは使わないコードです。

ということは?

はい。

セカンダリー・ドミナントです。

5小節目を見るとわかりますね。

F7から5度下がったB♭m7へとドミナント進行しています。

ex674

こうですね。

でも、こうしてみると
4小節目のCm7の意味合いが変わってきます。

Cm7はIIIm7ではなくて

F7とツー・ファイブを構成している

と見るのが正解です。

こうなります。

ex675

なんともめんどくさいですね。

まだたった4小節なのに、この情報量。

でも一安心です。

5小節目からは1~3小節目の繰り返しですからね。

分析も一緒です。

ex676

はい。

これでめでたく
Aメロのコード進行の分析が終わりました。

メロディーの分析

最後にメロディーも見ておきましょう。

1小節目と2小節目は全く同じですね。

3小節目と4小節目も一緒。

5小節目と6小節目も
最後の1音以外はほぼ一緒。

おまけに5小節目と6小節目は
1~2小節目の繰り返しです。

難しいことはなんにもやってないんですね。

「付点4分音符+8分音符」の組み合わせが
Aメロだけで12回も繰り返されます。

このシンプルさでこのおしゃれ感。

すごいですよね。

この曲の作曲者はユーマンズさんというアメリカ人ですが
こういう小さなかけらを繰り返すような曲をよく作ります。

楽譜の全体図を見ていただくとわかりますが
次のBメロも似たような音符の組み合わせばっかりです。

次回、Bメロをじっくりと見ていきましょう。

それではまた!

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Posted by t.k