初心者におくる作曲方法のコツ!第61回 二人でお茶を その1
こんにちは!
今回から、ジャズのスタンダードナンバーであります
「二人でお茶を(Tea for Two)」
という曲を分析していきますよ。
今までに学んできたことを総動員して
曲を分析してみましょう!
二人でお茶を
早速、曲を聴いてみましょう。
楽譜はこちら。
※クリックすると楽譜が大きく表示されます
楽譜は、動画の1:34くらいまでですね。
有名な曲なんで
聴いたことがある人もいるかもしれませんね。
この曲が書かれたのは1920年代。
そんな昔なのに、実におしゃれな曲です。
そして、分析すると実にややこしいのです。
実際に見ていきましょう。
1~8小節目
コード進行の分析
まず基本情報を確認しましょう。
調子記号を見てみると
♭が4つ書いてありますね。
A♭-Major(変イ長調)か
F-minor(ヘ短調)の可能性がありますが
聴いた感じでもわかる通り
長調のA♭-Majorです。
ということは、この曲で基本的に出てくるコードはこうですね。
これを使って分析します。
まず1小節目ですが
曲は通常トニックから始まることが多いですが
この曲は違いますね。
B♭m7 → E♭7
「IIm7 → V7」という流れです。
いきなりサブドミナント → ドミナントという
ツー・ファイブ
から始まりました。
V7であるE♭7からトニックに行くのかというと
行きません。
ドミナント進行しない不発です。
こんな感じで書いてみました。
ツー・ファイブの箇所は
こんなふうに下にカッコを書くとわかりやすいですね。
E♭7から5度下がろうと勢いよく飛び出したものの
下がらせてもらえないで放り出されたので、点線です。
2小節目は1小節目の繰り返しですね。
なかなかトニックに行かないことで
ふわふわとした浮遊感のような感じがありますね。
そして今度はめでたくトニックのA♭maj7へと
ドミナント進行します。
無事に着地できました。
でもちょっと待て!
次のD♭7はなんでしょう?
A♭-Majorの曲では
通常使うコードには含まれていませんね。
イレギュラーなセブンスのコードが出てきたら
セカンダリー・ドミナントを疑うんでした。
でもその次のコード、Cm7ですから5度下がっていません。
ドミナント進行しないで半音下がった和音に行っています。
これはどう分析しましょうか。
実は、セブンスから半音下がるというのも
ドミナント進行に近い効果があります。
次のコード進行を聞いてみてください。
D♭7からCmaj7に進むとき
ちゃんと「終わった感」がありますよね。
というわけで、このイレギュラーなD♭7は
ドミナント進行によく似たことをやっている
といったところです。
特に決まった書き方はないので
♭II7 / IIIm7と書きました。
スラッシュ(斜め線)は
英語で言うところの「of」にあたります。
IIIm7であるCm7からみて半音上
つまり♭II7にあたる音ですよ、ということです。
さて、Cm7は普通に使って良いコードですね。
次のF7はA♭-Majorでは使わないコードです。
ということは?
はい。
セカンダリー・ドミナントです。
5小節目を見るとわかりますね。
F7から5度下がったB♭m7へとドミナント進行しています。
こうですね。
でも、こうしてみると
4小節目のCm7の意味合いが変わってきます。
Cm7はIIIm7ではなくて
F7とツー・ファイブを構成している
と見るのが正解です。
こうなります。
なんともめんどくさいですね。
まだたった4小節なのに、この情報量。
でも一安心です。
5小節目からは1~3小節目の繰り返しですからね。
分析も一緒です。
はい。
これでめでたく
Aメロのコード進行の分析が終わりました。
メロディーの分析
最後にメロディーも見ておきましょう。
1小節目と2小節目は全く同じですね。
3小節目と4小節目も一緒。
5小節目と6小節目も
最後の1音以外はほぼ一緒。
おまけに5小節目と6小節目は
1~2小節目の繰り返しです。
難しいことはなんにもやってないんですね。
「付点4分音符+8分音符」の組み合わせが
Aメロだけで12回も繰り返されます。
このシンプルさでこのおしゃれ感。
すごいですよね。
この曲の作曲者はユーマンズさんというアメリカ人ですが
こういう小さなかけらを繰り返すような曲をよく作ります。
楽譜の全体図を見ていただくとわかりますが
次のBメロも似たような音符の組み合わせばっかりです。
次回、Bメロをじっくりと見ていきましょう。
それではまた!
t.k
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