初心者におくる作曲方法のコツ!第50回 いつか王子様が その3
こんにちは!
なんと、今回で50回目とあいなりました。
長くやってきましたねえ。
さて、前々回から「いつか王子様が」を分析しています。
今回でコード進行の分析は終わりにしましょうね。
ややこしいのも今回までですから
頑張っていきましょう!
いつか王子様が 続き
コード分析 その3
さあ、「いつか王子様が」をやっていきましょう。
楽譜と音を確認しましょう。
繰り返しになりますが
4分の3拍子でB♭-Majorの曲です。
また、B♭-Majorのダイアトニック・コードは以下です。
前回までで分析が終了した部分を見てみましょう。
では続きを見ていきましょうね。
繰り返し記号の指示により
冒頭から繰り返しまして
8小節目までやったら
今度は2カッコの方に行きます。
2回目はこういうふうに演奏していきます。
2カッコ最初のコードがFm7ですね。
1カッコのときはDm7でしたので
5度下がるドミナントモーションではなかったものの
トニック(IIIm7)に一応行き着いてました。
今度はどうやって分析しましょうか。
そもそもFm7は
B♭-Majorのダイアトニックコードではありませんね。
ということは
ここで何かが起きていると考えなければいけません。
次のコードをみるとB♭7です。
ということは?
ここでセカンダリー・ドミナントが起きているのです。
Fm7はB♭7を導くための
ツー・ファイブ
のツーの部分だったんですね。
そして、B♭7からE♭へと5度下がる
ドミナント・モーションです。
こうなります。
8小節目のF7からドミナント・モーションしたくて
矢印が飛び出したものの着地点はないんですね。
IVmaj7に向かうセカンダリー・ドミナントの
ツー・ファイブが始まっちゃいました。
次のEo7です。
これもダイアトニックではありませんね。
さあ、何かが起きました。
次のコードを見てみると
B♭/F
となっています。
これはなんでしたっけ?
第39回でとりあげた転回形です。
コードを構成している音はB♭なんだけど
ルートがFすなわちファの和音です。
おや?
E♭maj7 → Eo7 → B♭/F
となっていて、ルートが
ミ♭ → ミ → ファ
というふうに
半音ずつ上がっていますね。
前回取り上げました。
経過和音というやつです。
ディミニッシュコードが時々イレギュラーに現れて
コードがスムーズに進むのを助ける働きをするんでした。
というわけで
このEo7は分析の表記としては
♯IVo7もしくは♭Vo7となりますが
あんまり意味はありません。
半音ずつ上がっていく
ということを表すために
♯IVo7の表記の方がいいですかね。
さあ、最後の段です。
転回形を用いても働きは変わりませんので
B♭/FはImaj7です。
次の
Cm7/F
これ、なんでしょうね。
書き方としては転回形ですけども
Cm7にはF、すなわちファの音は含まれていませんよね。
これ、「コードの一番低い音を無理やりファにしなさいよ」という指示です。
一番低い音をファにして
その上にCm7を乗っけなさいよと。
こういう音になりますね。
こんなことやっちゃっていいんでしょうか。
いいんです。
現に、すごくおしゃれな響きの音ができましたよね。
半音x1を構成しなければ
どの音の上にどのコードを乗せても構いません。
なんのためにこんなことをするのでしょう?
まずは、音自体をおしゃれな響きにするためですね。
テンションを加えると
音がおしゃれに豊かになったように
音が複雑になると
うまくすればいい音になります。
(うまくいかないと、濁った汚い音になります)
ところで、いままではコードの一番下の音を
ルート とか 根音
と呼んできました。
ここで新しい呼び名を提唱しましょう。
ベース もしくは ベース音
といいます。
ややこしいんですけど
Cm7/Fの上に乗っているCm7のルートは
Cすなわちドです。
でも、ベースはFすなわちファです。
基本的にベース音というのはルートと同一ですが
今回のようにベース音だけ別途指示された場合は
「ルート」ではなく「ベース」と呼ぶ方がふさわしいように思います。
でもまあ、大体の場合は同一ですので
「Dm7のベースはレだよなー」と
言っても全然かまいません。
ちなみに、ベースというギターに似た楽器がありますが
その役割はまさにベース音を奏でることにあります。
話が逸れました。
なんでルートとは違う音を
ベース音に使うのかという話でした。
もうひとつの目的は
ベースの動きに意味を持たせる
です。
最後の段、こういうコード進行ですよね。
B♭/F → Cm7/F → F7 → B♭
最後のB♭は置いておいて
最初から3つはベース音がすべてFです。
このベース音を揃えるということを
作者はやりたかったんでしょうね。
なんでベース音を揃えたかったのかというと
それは作者のこだわりでしょう。
揃えなくても十分に成り立ちます。
でも、なんでだか作者は揃えたくなっちゃったんでしょうね。
同じようにベース音に意味を持たせる例として
ベース音が1音(もしくは半音)ずつ上がる/下がる
なんかがよくありますね。
ベース音が揃ったり、順番に上がり下がりすると
ちょっと聞いてて気持ちよかったりすることがあります。
さて、このCm7/F
分析がまだでした。
ベース音が何であれ
これの働きはCm7と同じです。
ですのでIIm7ですね。
次のF7とツー・ファイブを形成し
最後のB♭にドミナント・モーションで到達します。
はい。
これでコード進行の分析がめでたく終わりました。
今回は
ベース音に違う音を用いる
という新しい技が出てきましたね。
こういうのはホント実例に当たらないと
なかなかわかりづらいんですよね。
さて、ここでちょっと補足しておくことがあります。
臨時記号の表記
音を上げ下げする指示を表す
♯(シャープ)
とか
♭(フラット)
また、これらをリセットする♮(ナチュラル)のことを
臨時記号と言います。
これ、楽譜を書く時には
音符のすぐ左にかかれますよね。
こんな具合。
一方で、コード名などで表記する時には
C♯m7
のようにアルファベットの右に表記します。
音に臨時記号をつけたことを表す時も
ド♯
のように音名の右に表記してきました。
ところが先ほど
ローマ字表記でコードの働きを分析したとき
このように左側に書きました。
なんでこう書いたかといいますと
その方が一般的だから
ということになります。
右に書いても構わないのですが
世間では左に書く方が
なんでだか多いんですよね。
なんの注釈もなく
いきなりこういう表記を出してしまったので
ちょっと混乱してしまったかもしれません。
音楽ではこういう微妙に定まっていない表記があります。
たとえば以下のコード表記は
全部同じ「Cメジャーセブンス」を表しています。
ということで
ちょっと補足でした。
さあ、今回はここまでです。
次回は「いつか王子様が」のメロディーについて
一緒に考えていきましょう。
ではまた次回!
t.k
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