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初心者におくる作曲方法のコツ!第63回 二人でお茶を その3

2018年1月26日趣味, 作曲

初心者におくる作曲方法のコツ!第63回 二人でお茶を その3

こんにちは!

今回も引き続き、ジャズの名曲

「二人でお茶を(Tea for Two)」

を分析していきます。

張り切ってやっていきましょう!

二人でお茶を 続き

二人でお茶を 続き

まずは課題曲を思い出しましょう。

曲はこちら。

楽譜は以下です。

ex687

※クリックすると楽譜が大きく表示されます

楽譜に忠実にピアノで弾いたものはこちら。

前回までやった分析がこちらですね。

ex688

17~21小節目

16小節目からの流れ

さて、前回積み残した16小節目を片付けましょう。

ex689

このE♭7は何でしょうね。

いきなり出てきたセブンスで真っ先に疑うのは

セカンダリー・ドミナント

ですね。

あるいは

ドミナント進行を利用した転調

というのも有力な候補です。

ところが

17小節目の最初のコードはB♭m7で
5度下がるというドミナント進行していません。

本来だったら、5度下がってA♭maj7に行きたかったのです。

楽譜を見てわかるように

「A’」のセクションでは
「B」でさんざん出てきた♮がありませんね。

つまり、「A’」は「A」同様のA♭-Majorに戻っています。

元の調に転調したんですね。

というわけで

E♭7は、A♭-Majorのドミナントです。

で、5度下がるはずだったんですが

この曲はそもそも始まりが
トニックじゃなかったんですよね。

IIm7 → V7

という、いきなりツーファイブで始まる変則的な曲でした。

というわけで

このE♭7は
トニックに行けなかったドミナントということになります。

ex690

E♭7は、転調先のA♭-MajorのV7で

5度下がろうと勢い良く飛び出したものの
着地できずに放り出されたので点線です。

17小節目~24小節目

さて、このA’のセクションは
基本的にはAメロの繰り返しですね。

22小節目までは完全にコード進行もメロディーも一緒です。

ということで、こう。

ex691

次のCm7(♭5)はなんでしょうね?

A♭-Majorで出てくるコードではないので
なにかイレギュラーなことをやっています。

その次のコードを先に見てみましょう。

F7です。

更にその先も見てみましょうか。

ex692

Cセクションの最初のコードは

B♭m7/D♭

です。

これはB♭m7の転回形ですね。
(転回形についてくわしくは第39回を参照してください)

コードの機能としてはB♭m7と同一と考えて良いので
F7からドミナント進行しているといえます。

つまり、F7はセカンダリー・ドミナントです。

こうなります。

ex693

で、このF7に先行するCm7(♭5)を考えましょう。

通常、この位置に来るのは

セカンダリー・ドミナントのサブドミナントとして
ツー・ファイブを構成する

Cm7

ですよね。

実際、Cm7でもおかしくありません。

ex694

はい。

ただ、Cm7(♭5)の方が
ちょっと独特な感じがありますね。

ところで、サブドミナントにこの

「m7(♭5)」を用いることがあったのを
覚えておいででしょうか。

短調です。

ex695

これはC-minor(ハ短調)の例ですが

2番目の和音は「m7(♭5)」で
これはサブドミナントとして使えます。
(短調については、第26回第27回を参照してください)

というわけで、短調だと考えると

Cm7(♭5) → F7

というのは
ツー・ファイブだと考えておかしくありません。

ん?

ここだけ短調・・・。

モーダル・インターチェンジです。

一時的に、長調と短調を入れ替えることができるアレです。
(モーダル・インターチェンジは第40回第41回第42回で扱っています)

つまりここはこうなります。

F7はIIm7であるB♭m7を目的地とした

セカンダリー・ドミナント

であり、そのF7とツー・ファイブを構成するCm7のかわりに

短調にモーダル・インターチェンジさせた
Cm7(♭5)を用いたのです。

ex696

ややこしいですね・・・。

モーダル・インターチェンジの中でも
サブドミナントに短調のコードを借りてくる

サブドミナント・マイナー

です。

さあ、今回はここまでです。

次はいよいよ最後のCセクションです。

実はここ、幾通りもの解釈が可能です。

次回の解説が必ずしも唯一無二の回答ではないですが
頑張って解釈していきましょう!

ではまた!

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Posted by t.k