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初心者におくる作曲方法のコツ!第51回 いつか王子様が その4

2018年1月26日趣味, 作曲

初心者におくる作曲方法のコツ!第51回 いつか王子様が その4

こんにちは!

前回で「いつか王子様が」の
コード進行の分析が終わりました。

今回はメロディーをいろいろと見ていきますよ。

きっと自分で曲を作るときのヒントがあります。

張り切っていきましょう!

いつか王子様が 続き

いつか王子様が 続き

メロディー分析

まずは「いつか王子様が」の楽譜と音を確認しましょう。

ex566

しつこいようですけど

4分の3拍子B♭-Majorの曲ですね。

では、実際にメロディーを見ていきましょう。

1段目~2段目

まず、1段目と2段目を見ていきましょう。

ex567

1小節目は問題ないですよね。

ファはB♭maj7に含まれる音ですから
ごくごく素直に始まりました。

2小節目、コードはさておきシ♭もダイアトニックな音です。

問題は次のファ♯です。

この、B♭-Majorでは通常使わない

ダイアトニックではない音を
作者は使いたかったんですね。

だってこれ、普通に作ったらこうですもんね。

ex568

2節目、メロディーにシ♭が出てくるので

半音x1を形成しないように
コードをB♭maj7ではなくB♭にしましたが

なんでファ♯を使ったのか?

これは、作者でないとわからないところなので
あくまでも推測でしかないのですが

この曲、白雪姫がいつか王子様が迎えに来てくれると
夢を見る気持ちを歌ったものです。

徐々に高揚していく気持ちを表すために
ファ♯を用いたのではないかと。

もともとファから始まったメロディーが
元のファではなく半音高いファ♯に戻ってくる。

階段をひとつ上がったような効果がありますね。

ここで、1段目と2段目を比べてみましょう。

ex569

1段目と2段目の
音の上がり下がりをグラフのように示しました。

音の長さも1段目と2段目で一緒ですね。

音の高さこそ違えど
1段目と2段目でやっていることは同じです。

ということで

2段目の2小節目でもダイアトニックではない
通常使う音より半音高い音に下がってきています。

さっきと同じように

ダイアトニックな音だけで作った場合と
この曲のように半音上がった音を使った場合をくらべてみます。

ダイアトニックな音だけで作った場合。

ex570

半音上がった音を使った場合。

ex571

ドリーム感が違いますよね。

だんだんと高揚していく感じが確実に違います。

ダイアトニックな音だけで作った場合も
悪い曲ではないんですけどね。

夢見る乙女の気持ちを代弁するには
ちょっと落ち着きすぎています。

3段目~4段目

次です。

2段目、最後の小節は
1段目に習うなら

ex572

となるところを
たたみかけるように次のフレーズが始まります。

ex573

この赤いカッコでかこってある部分で1つのフレーズですね。

ここでは全く同じフレーズを2回繰り返しています。

今回はもう上昇していくような感じはありませんね。

高いところで音をキープしています。

ここはいったん
白雪姫がちょっと落ち着くんですかね。

ファーファ・ラーラ・ファーと
元々いた位置に戻ってきます。

1段目と2段目で
すでに上昇していく感じを2回繰り返していますのでね。

似たようなことは繰り返しても2回、せいぜい3回くらいまでがいいですよね。

これ、ずいぶん昔に第8回で触れましたよ。

覚えてますか?

そして、繰り返し記号に従って
最初から繰り返し2カッコに進みます。

5段目~6段目

ex574

先ほどの1カッコでは
前の小節の「ドレミ」からフレーズが始まりましたが

今回は違います。

前の小節の「ドレミ」は導入でしかありません。

フレーズで分けるとこうなります。

ex575

1段目・2段目の時と同じように
音の上がり下がりをグラフにしました。

こうするとわかりやすいですね。

そして、これまでで最も高い音がここで登場していますね。

曲の最高潮を迎えています。

さて、ここでひとつ問題が生じます。

5段目の1小節目
ミにナチュラルが付いています。

でもコードのFm7にはミ♭が含まれます。

おっと、半音x1が生じてしまっていますね。

これは間違いなんでしょうか。

ためしに、ミ♮をミ♭にして聞いてみましょう。

ex576

うーん、やっぱりミ♮の方がいいような気がします。

本来的には半音x1は避けたほうがいいものです。

ですがこの場合
それよりも曲の良さを取ったということなのでしょうね。

ひとつ、この半音x1が出てきているのが

2拍目の裏

であるというのがポイントです。

「拍の裏」とは

例えば1拍目と2拍目の真ん中=1.5拍目を

1拍目の裏もしくは裏拍(うらはく)
というふうに呼びます。

逆に、通常の「〇拍目」のことを
もしくは表拍(おもてはく)と呼びます。

伴奏の「ズンチャッチャ」という音が
1拍目・2拍目・3拍目の表に鳴っているのに対し

その裏を縫うようにミ♮が出てきています。

そのため、半音x1の耳に痛い音を回避しているとも言えます。

一方で、続きの3・4小節目はどうかというと
3小節目のシの音は半音上がっていません。

これは、シが2拍目の表にいるからなんですね。

ためしに半音上げてみましょう。

ex577

ちょっとイラッとしますね。

じゃあ、1小節目と同じように2拍目の裏にしたら?

ex578

いくぶんイラっとくる感じはおさまりました。

半音x1をどうしても使いたい場合は
裏拍に短い音符で使うべし

ということが言えますね。

さてこの5段目。

1小節目・2小節目よりも

3小節目・4小節目のほうが
音が下がっていますね。

終わりに向けて
曲を落ち着かせに入っています。

そして6段目。

ファーミ♭レードシ♭ー

と、ごくごく穏やかに曲は終わりを迎えます。

メロディー全体像

全体のおおまかな曲の上がり下がりをまとめます。

1段目・2段目・・・似たことを2回繰り返しつつ、テンションを上げていく

3段目・4段目・・・同じことを2回繰り返しつつ、高めでキープ

5段目・6段目・・・最も高い音を使って盛り上げ、徐々にテンションを下げて終わりに向かう

こうして見ると、曲全体の構成は非常に
オーソドックスにできていることがわかります。

奇をてらうことなく徐々に盛り上げて
徐々に盛り下げて終わるという構成です。

Aメロ – Bメロ – Aメロ – Cメロ(サビ)

という構成ですね。

さて、メロディーの分析はこれで終わりです。

と同時に、この「いつか王子様が」の分析も終わりとなります。

できたら別の曲もご自身でためしに分析してみてください。

きっとなにか発見があります。

もう何曲か分析したいんですが
それはちょっと先に飛ばしまして。

また、積み残しになっている
転調についても先延ばししまして。

次からはごくごく簡単な
アレンジの初歩についてお話しします。

ではまた次回!

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Posted by t.k